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わたしはクリスタリウムの、この場所が好きです。
本がたくさん並んでいる場所。ええと、博物なんたらという都市内エーテライト付近ですね。いま、エオインしてないから正式名称が思い出せないのよ〜とほほ。
なぜ好きなのかというと、本がたくさんあるから!
この世界は終末に向かっている世界で、ギリギリの状況にあるはずです。でもそれでもこれだけの本がある。そしてゲームを遊んでいるとわかりますが、「光の氾濫」後も人は本を書いていたとあります。その設定を知ったときにね、わたしは感動したのですよ。どんな状況でも、人は大事だと思ったことを書き残そうとする生き物なんだな、そういうところをこのゲームは組み込んでいるんだなあって。毎日を生きるだけではなくて、もっとこう、何かしらを変えたい、広めたいという衝動が人にはある。そういうふうにも感じて、わたしは感動したのでした。
さて、第一世界を、サブキャラちゃんは救いました。
ええ、漆黒のメインクエストをクリアしたのです。
というわけで、ここから先は漆黒のメインクエスト(パッチ5.0)を終えた感想になります。第一弾として、とある人物に偏った内容にしてます。また、ネタバレ配慮に薄い内容となってますから、どうぞご了承の上、続きをご覧ください。
漆黒の物語は、二人の英雄が関係を深めていく物語でもあるんだなあ、と、わたしは感じました。
第一世界での英雄、アルバート。優しい彼は冒険を続けていただけなのに、仲間たちと共に「光の氾濫」を招き、第一世界をあわや消滅、という状況にまで追い込んでしまいました。そんな第一世界を救いたいがため、アシエンの甘言にのり、原初世界で冒険者たちと激突したけれど、光の巫女の導きによって第一世界に帰還したーーーー。
漆黒の物語では、そんな彼がたどった軌跡が原初世界の英雄の冒険とともに描かれています。
なかなか衝撃でしたよね。死すら共にした仲間たちは100年前の光の氾濫時に、ミンフィリアと共に氾濫を抑え消えてしまったのですから。自分も同じ道を辿ろうとしたアルバートはなぜかミンフィリアに「あなたはまだ消えるべきではない」と止められ、以降、冒険者が第一世界を訪れるまで孤独に彷徨っていたのですから。
彼はそこまで酷い目に合わなければいけない人なのかなあ、と痛ましく感じた記憶があります。
長い孤独の果て、アルバートは唯一、意思疎通が可能となる相手と巡り合います。
それが原初世界の英雄、冒険者です。
なぜ冒険者とだけ意思疎通が可能になるのか。それはゲーム終盤でも描かれますが、二人は同じ魂を持っているから、とのこと。たくさん人がいる中で、奇跡的な確率で二人は出会ったんだなあ、と感じましたね。奇跡的、というより、運命的? この二人が同じ魂を持っているからこそ、最後の敵に勝つことができたのだから、深いわあぁ……と感じ入りました。
最後の敵に勝てた理由は、同じ魂を持っている彼らが、力を合わせて立ち向かったから。
より正確にいうなら、アルバートの魂を冒険者が受け入れたから。
つまり、二人が同一の存在となったことによって、最後の敵を倒せるようになったのですね。
再会した当初の彼らは、果たして同一の存在となることができたでしょうか。わたしはそうは思いません。いくら同じ魂を持っていたとしても、彼らは別々の存在です。それが同一の存在になるには、特に消える側の存在には葛藤があって然るべきだと思うのです。すでに死んでいるから、という理由は葛藤を和らげる一因にはなってくれるかもしれませんが、それでも葛藤は消えてしまわないのではないだろうか、とわたしは考えました。
具体的な葛藤は描かれていなかったけれど、わたし達はアルバートが自分を取り戻し、人生を振り返り、前を向こうとする瞬間を目の当たりにしてきました。己の無力さを噛み締める瞬間だってありました。それでもアルバートは英雄と呼ばれる冒険者のそばにあり続けました。言葉を交わす以外、何もできなかったけれど、アルバートは英雄と冒険を共にすることによって、彼自身の歩みを進めていたのです。
その歩みは、決して小さなものではなく。
最後の戦いの前に、苦しむ冒険者にアルバートは横に並び立ち、言い放ちます。「なら、魂ごと持っていけ!」ーーーーそう言われた時の清々しさは、簡単に表現できません。巨大な敵に対する闘志もあれば、信頼した相手にすべてを委ねる潔さもあり。自分が消えても世界を存続させる、という圧倒的な意志も感じ取れたのでした。
その決断を見て、「彼は本当に英雄の器だなあ」と感じました。
同じ状況にあって、同じ決断を下せる人物は、世界にどれだけいるんだろう。
戦いが終わったあと、英雄たちはクリスタリウムに帰還します。わたしが嬉しいなあと感じたところは、アルバートもクリスタリウムに帰還し、その先に彼の仲間が待っていたことです。以前、どこかでアルバートの武器から血糊が消えてる、という情報を耳にしました。きっと仲間の命を断つときについた血糊が消えることによって、アルバートは本当に自分の人生に決着をつけることができたんだ、という意見も目にして、わたしはよかったなあ、と感じました。
そして冒険者の物語はまだまだ続いていく。
きっと、どこかにアルバートを連れて。
そんな想像はきっと、優しいアルバートを慕っていた存在にとって、心温まる想像に違いないと思うのです。